遺言による相続分の指定が万能なわけではありません。
法定相続分を超える部分の対抗要件
遺産分割によるものかどうか関わらず、法定相続分を超える部分については、権利の移転について対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができません(899条の2第1項)。
事例:甲土地を子供3人X・Y・Zが相続、遺言による相続分はX2/5
Y2/5、Z1/5とされていたが、遺産分割協議が難航し、とりあえず、各人の持分を1/3の相続を原因とする登記がなされた。Zはその持分をDに売却し、Dへの所有権移転登記がなされた。
この場合、法定相続分を超える部分については、X・Yは登記その他対抗要件を備えていないので、Dに対し、Zのした1/5を超える処分の無効を主張することができない。