東京都豊島区が23区で初の終活登録
東京都監察医務院の統計によると、単身世帯で自宅で亡くなる「孤独死」をした65歳以上の高齢者は、2020年に23区内だけで約4200人に達し、5年前より1千人以上も増えた。
豊島区の取り組みは以下。
2020年の孤独死(65歳以上の高齢者)は137人。5年前は129人だった。区は「終活あんしんセンター」を開設し、2022年4月から23区では初めて、終活情報登録事業を開始した。豊島区では緊急連絡先、献体の登録先、遺言書の保管場所などを無料で登録できる。登録カードを持っていると、病気・事故などで意思表示ができなくなった時や亡くなった場合、警察や消防、事前に指定した相手に登録情報が伝えられる仕組みだ。
ある女性は区から配布された「終活あんしんノート」に遺言書の保管場所や生命保険の受取人など自身の情報を書き込んでいる。/
「2025年問題」
これまでに終活あんしんセンターには約1500件の相談が寄せられた。登録事業を利用したのは60~90代の18人(2022年10月末現在)。うち12人は女性だ。
区によると、身寄りがない高齢者の中には、1億円近い資産を残したまま、自宅でひとりで亡くなる人もいれば、生活保護を受けながらひっそりと亡くなる人もいるという。
終活あんしんセンターの運営を受託している豊島区民社会福祉協議会(社協)の天羽瞬一チーフは「ひとり暮らしの高齢者で認知症など支援が必要なケースが最近、増えている。身寄りがなく、区が後見人を申し立てるケースが以前に比べ、増加している」と話す。
1947~1949年に生まれた「団塊の世代」全員が2025年までに75歳以上の後期高齢者になる。
あと2年あまりで認知症の高齢者や孤独死の増加などが顕在化するとされる「2025年問題」が待ち受ける。こうした中、終活支援の取り組みは都内の自治体に広がりを見せている。
社協による終活支援の広がり
練馬区も同種の制度の検討を始めている。20年には286人の高齢者が「孤独死」したという。