成年後見制度はどう変わる?26年ぶりの大改正のポイントと注意点

マネックス人生100年デザイン2026/07/03より抜粋

2026年改正法の核心:スポット利用と利用停止がもたらす安心感

今回の改正法で最も注目すべきは、これまで「終身」が原則だったルールに、「出口」と「期限」が設けられた点です。具体的には、「特定の目的(スポット)」での利用が現実的になります。「遺産分割協議の間だけ」「自宅の売却手続きが終わるまで」といった具合に、法的な課題を解決するためだけに後見人の力を借り、用が済んだら制度を終了させる、あるいは支援の範囲を小さくするといった運用が想定されています。

これは、ご家族にとっての「精神的・経済的な縛り」を大きく軽減するものです。また、支援の担い手を適宜交代できる仕組みも導入されます。最初は法律に詳しい弁護士等専門職が道筋をつけ、難しい手続きが終わったら、日常の見守りを得意とする親族にバトンを渡す。こうしたリレー形式の支え合いが当たり前になれば、ご家族の負担はより穏やかなものへと変わっていく可能性があります。

現行制度と改正法の比較

ここで、新旧の制度がどう違うのかを、整理してみたいと思います。

変化のポイント現行制度(これまでの常識)改正法(これからの常識)
利用の期間亡くなるまで管理が続く必要な期限が過ぎれば終了できる
コスト(報酬)月々の報酬が一生続くリスク必要な時期に絞って負担を抑えられる
支援の担い手一度決まったら交代は困難状況に合わせて最適な人に交代できる
本人の意思後見人が「代わって」決める本人が「どうしたいか」後見人が支える

司法書士法人リーガル・フェイス作成

この比較から、改正法が「管理」よりも、ご本人の「自律」を支えることに重きを置いているという事が読み取れます。

施行の見通しとスケジュール、留意すべき点は?

今回の改正法は2026年6月17日に成立しました。施行は一部の規定を除いて公布から2年6ヶ月以内とされています。つまり、実際に新しい制度が動き出すのは2028年頃になる見通しです。それまでの間に、運用ルールの策定やシステム整備、後見人の育成体制の整備なども並行して進められていく予定です。

また、今回の改正を経てもなお「任意後見制度(元気なうちに自分で支援者と内容を決めておく契約)」など、ご本人を見守る備えとして最も適切なものを選ぶことが重要である点に変わりはありません。そのため、法改正を待つだけではなく、適切な準備をしておくことが大事なポイントとなります。

任意後見契約の発効数 任意後見監督人選任の申立ては、令和2年が738件です。ここ直近5年の申立ての合計数が3,845件で年間平均は、約769件です。 本人が、認知症などで判断能力が衰えたことにより監督人の選任申立てをし、契約の効力が生じた件数です。契約数からみると5%程度しか発効していないということになります。